【開発秘話】”セラミック落とし蓋”ができるまで

【開発秘話】”セラミック落とし蓋”ができるまで

煮物の味付けを、簡単に美味しくしたい。

料理に不慣れな私の、小さな悩みから生まれた陶器の落とし蓋。

私は数年前から、妻と交代で家事をするようになりました。料理もそのひとつです。

最初は戸惑いながらも、レシピサイトを見て少しずつ覚えていきました。
そんな中で、とくに感じたのが——

「煮物の味つけって、意外とむずかしい」ということでした。

 

 

煮物の黄金比と、うまくいかない現実

しょうゆ・酒・みりんを各大さじ1ずつ。
いわゆる“煮物の黄金比”があるとはいえ、ちょっと分量を間違えただけで、
味が濃すぎたり、ぼんやりしたりしてしまう——。

レシピ通りにやってるつもりなのに、なぜか毎回うまくいかない。
「また失敗したかも…」そんな気持ちが、料理のハードルを上げていました。
そこで私は考えました。

調味料の量を誰でも簡単に測れて、しかもそのまま煮込める道具があったら——
そんな思いから、私のものづくりは始まりました。


 

黄金比が"計量できる"落とし蓋をつくる

私が着目したのは、陶器の落とし蓋でした。
陶器は熱を均一にゆっくり伝えるので、煮崩れしにくく、味がしっかりしみ込むのが特長です。

さらにそこに「大さじ1=15cc」が量れるくぼみを設ければ、
計量カップいらずで、毎回味が決まる煮物が誰でも作れるはず。

でもここからが大変でした。
陶器は焼成する際に収縮するため、焼き上がりで“ぴったり15cc”にするには、逆算して設計する必要があります。
これは、熟練の職人さんでも「かなり難しい」と言う精度です。

 

AIと職人の知恵を掛け合わせて

私はAIに「大さじ一杯に適した楕円形状のくぼみサイズ」を尋ねました。
すると、必要な体積とそれに合う寸法を具体的に提案してくれたのです。

それをもとに、窯業試験場に協力を依頼し、図面を作成。

さらに、3Dプリンターで原型をつくり、職人の方に石膏型を製作していただきました。


 

いざ試し焼きをしてみると——
出来上がった試作品のくぼみの容量は12cc。
想定していた15ccには届きませんでした。

陶器の表面に施す釉薬の厚みを、設計段階で考慮していなかったのです。

原型を紙やすりなどを使い何時間もかけて手作業で削り直し、再挑戦。


そして2回目の試作。
くぼみにしょうゆを注いだ瞬間——

「15ccぴったり」

思わず、声が出ました。
「できた……!」


 

“もう一度、煮物を作ってみようかな”と思ったあなたへ

料理に慣れていない自分だったからこそ、
日々の台所で「あったらいいな」と思った機能をこの落とし蓋に込めました。

もう、煮物で悩まなくていい。
もっと気楽に、もっとおいしく。

もしあなたが、「もう一度、煮物を作ってみようかな」と思ってくれたなら——
それだけで、この道具をつくった意味があります。

それが、私のものづくりの原点であり、これからも大切にしたい想いです。

 


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